「先週はボーナスが出たからみんなで駅前のデパートに行こうか」
30年前、1980年代のとある日曜日の昼下がり、
父が家族に声をかけた。
デパートでの買い物、
それは母にとっても、私たち姉妹にとっても特別な瞬間だった。
ショウウインドウに飾られた服は何もかも輝いて見えた。
デパートで買った服は何か特別な日に着ることのできるもので、
母にとってもデパートで買った服を私たちに着せることは、ある種のステータスだった。
当時はインターネットもない時代、
デパートに並べられた商品が流行の最先端という考えは
日本社会全体に浸透していたように思う。
メイド・イン・ITALY、メイド・イン・USA、欧米諸国でつくられた製品は
日本人の高嶺の花だった。
時は流れ2019年。
街という街から旧来型のデパートは消え、
郊外には安くて品質の高いとされる商品を揃えた店舗が立ち並ぶ。
さらにインターネットが普及し、スマホから簡単に最先端とされる情報を入手できる。
ネットショッピングも当たり前になった。
私たちの生ききる今の日本。
便利なようで、氾濫する情報に翻弄されてしまうこともある。
情報のボーダレス化は真のグローバル化をもたらし、
「メイド・イン・ジャパン」「メイド・イン・チャイナ」
といった言い回しは、ある種のブランドキャッチコピーのように使われ、
もはや実態のない標語になってしまっている。
あらゆる情報が私たち消費者に身近になることは
良いことでもある反面、
情報に振り回される危険性もはらんでいる。
メイド・イン・ジャパンは品質が高く、
メイド・イン・チャイナはそうでない。
本当だろうか?
世界的にも知名度抜群の日系自動車メーカーの燃費不正問題、
ものづくり日本の象徴ともいえる部品メーカーの安全性の虚偽報告。
ブランドのみで、購買を判断することのリスクが高まっている。
一方でメイド・イン・チャイナと言えば、
安かろう悪かろうの代名詞のような使われ方をしている。
かつてアメリカのIBMがPC事業(ThinkPad)を中国のレノボに売却した時、
世間の目は冷ややかだったが、
ThinkPadブランドはレノボの下で輝きを増し続けている。
あの通販大手アリババだって、
モバイルバッテリーで日本人に身近なANKERだって、
中国企業だ。
中国企業、日本企業という目線で企業やサービスを見ると、
ナショナリズムの格好の材料として政治利用されてしまっている面がある。
本物は日本、中国といった国単位で区別できるものではない。
「日本の消費者に本物を伝えたい。」
オレンジ堂は
これまで貿易ビジネスに深く携わってきた
支配人中井の知見を余すことなく駆使し、
世界の本物を日本の消費者にお届けします。